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番長が旅した37ヵ国の旅行記など。ほとんど一人旅。3年半のイギリス滞在を終え、2010年2月に日本に帰ってきました。


by bancho55a

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フォウクとブライトン

今日は6月1日に書いた日記をアップします。
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なぜかロンドンに来てから、3ヶ月に一度、「リセット期」と呼びたくなるような時期がやってきます。
ロンドンでの生活が始まったのが9月1日。初めて「リセットしよう」と強く決意したのが12月1日、仕事も決まり、髪を切って新しい気分になった誕生日の3月1日、そして今日は6月1日。

人間って、3ヵ月の間に、澱のように何かが溜まって体が重くなってしまうのでしょうか。

または、3ヵ月も髪を切らない私だけの問題でしょうか(たぶんそう。いま、常人とは思えない外見をしてます。)

今朝、ある方からメールを頂いて、どーん!と奈落の底まで落ち込んでしまいました。

(・・・すいません、多分、このブログを読んで下さっている方なのですが、どうかお気になさらないで下さい。とても良いメールを下さったのですが、私は天邪鬼なもので、なぜかそれで鬱になってしまったのです。)

自分では今の自分が、ある程度ちゃんと歩けている気分でいたのですが、そうではないように思われると指摘され、、、そして、ふと我が身を振り返って、確かに・・・と思える部分があったのです。はい、かなり痛い所を突かれました。

そんな重い気持ちを抱えながら、でも今日はちょっと遠出をしないといけなくて。こんな状態で人に会うのはちょっとつらかったのですが・・・

ベルギー旅行の時に連絡を取ったフォウクが、今、ブライトンにいるのです。わざわざ2時間近くかけて会いに行くか!?と思いつつ、何だか、とても会いたかったのも事実。ということで、出かけました。

ブライトンに着き、大学寮の辺りにいる、と言われたけど誰もいない。電話しようかと携帯を取り出したところ、

「バンチョーーーッ!!」

これ、道の反対側から叫ぶでない。(しかもすげー広い道。)

9ヶ月ぶりに会うフォウクは、黒髪を金髪に変え、もともと華奢な体がさらに折れそうに細くなり、でもドクロと刈上げドレッドと笑顔はそのまんまでした。(ついでに南京錠&畳針ピアスも。)

少し立ち話をしていると、サディキ(?)というバングラディシュ人の生徒が。去年、フォウクと同じクラスを取っていて、今年から大学院の博士課程に進んでいるそうです。

そのまま3人でビーチへの階段を降りて行く。懐かしい小石のビーチ、きらきら光る海、突堤の残骸、カモメの鳴き声・・・ブライトンは本当に、しみじみと、良い街です。

ビーチに腰を下ろして1時間ほど談笑。大学院を離れて以来、こういう、世界の問題とか、将来への不安とか、話したことがなかったなぁ・・・とぼんやり考えていた。そしてあの頃は、英語も今より出来なかったし、自信が無かったから、全然話の輪に入れなかったし。今も消極的だけど、あの頃より少しはちゃんと話せるようになってきた気がする。

と、そんな私を見かねたか、サディキが「いつも思うんだけど、日本人は皆、modest&niceなんだけど、どうして?」と聞いてきた。日本の文化について説明しつつ、「あら、私もそんな日本人の一人だといいんだけど?」とまぜっ返すと、フォウクが「あー、アンタは全然違うよね!」と更にまぜっ返して大笑い。相変わらず失礼な女だ^^

私が、某NGOのインターンをできるかもしれない、と言うと、フォウクが驚いて「ホントに!?すごいじゃない!え、他に何人か募集してないの?」と聞いてくる。そのNGOを知っているのも嬉しかったし、そこでインターンをできるのが、良いことだと分かってくれている人も正直、初めて会ったので、とても嬉しかった。

フォウクはいろいろ求人を見ているものの、良いものが見つからないらしい。取りあえず、難民系のリサーチの翻訳ボランティアを始める、と言っており、その後、中米でのインターンに応募したいとも言っていた。ベルギー人だからてっきりフランス語がしゃべれるかと思いきや、彼女の住むゲントはオランダ語圏らしい。それでも、大学・大学院はイギリスだから英語はペラペラだし、南米に2年いたので、スペイン語も仕事レベルで使えるようだ。フランス語も、古い記憶を引っ張り出せば、会話レベルなら問題ないとか。そんなにすごい彼女でも、希望の職には簡単につけないんだなぁ・・・と少し驚いた。

そこから、他の生徒がどこで働いているか、の話になった。さすがに、大学院に来る前に長い途上国経験を持つ傭兵トムはUNHCR?でスリランカ、NGO経験が長いダニーはウガンダの、これまた国連関係のインターンでバリバリ働いているらしい。が、その他は、勉強したこととは関係ない職業で甘んじている人も多いようだ。カナダの修道院?にいるジョーはまだしも、スタバで働いているA、そしてサディキの同級生も、ブライトンのスーパーで荷運びをしているとか。フォウクが「彼らのようなインテリジェントな人達が、自分の専門を生かせないのは残念でならないわ・・・」と言う。

特に、開発学や人類学を学ぶと、それらに対する批判も同時に学ぶことになるので、そういう仕事をすることに対して懐疑的になり、一歩を踏み出すのにためらう人も多いようだ。人権学はどう?と聞かれたが、多分、開発や人類学に比べれば日が浅い学問なので、まだ自省レベルまでには達していないのではないかと思う。といっても、欧米的人権観念への懐疑論は学ぶので、やはり同じ事かもしれないが。

残念な話はいくつもあったけど、そしてそれは今でも続いているけれど、ブライトンのビーチに座り、夕日を浴び、風に吹かれながら海を見ていると、それでも未来は明るいような気がしてくる。今朝の意気消沈した気持ちが回復してくるようだ。

サディキは他に予定があるとのことで、その後、フォウクと私で夕飯を食べに行く事になった。2人でご飯なんて初めてである。他に約束もあったようだが、自分のためにロンドンからやって来てくれたこの物好きのために、わざわざ予定を延ばしてくれたようだ(しかも後で聞けば、この後またその子とご飯を食べに行くというのだ!ひゃぁー、申し訳ない!)

フォウクはベジタリアンなので、安いベジカレー食べ放題食堂へ。最初は、2人きりで話が持つかしら・・・とちょっと心配だったが、思いがけなく、あれこれ話してしまった。フォウクは本当に心が広く、何でも受け止めてくれる子なのだ。そして、どうも日本人的感覚があるような・・・あれだけ暴力的なファッションで身を固めているのに、中身は少女のようにあどけなく、細やかな気遣いで、相手の話をすみずみまで聞いて、自分の感覚を最大限に広げて理解しようとする。

大学にいた頃から、誰もがフォウクを好きで、フォウクも皆を好きだった。それがなぜなのかが、本当に良く分かる。偏見の無い心、自分をバカにできる賢さ、相手を受け入れる度量。ありふれた美徳かもしれないが、これを本当に備えている人はなかなかいない。それを軽やかに成し遂げている彼女を見ると、すごいなぁと思いつつ、人間の可能性をもっともっと信じられる気がしてくる。

『私ってどういう人間なんだろう?』

折に触れてこの事を考えてきたが、最近、一つの答えが出てきた気がする。多分、私は「バランスを取る人」なんじゃないかと。まあ、私は自分に甘い人間なので、自分の欠点を最高に良く見せる言葉がこれなのだ。どっちつかずの優柔不断さや、コロコロ進路を変える気分屋なところ、強い信念を持てず、誰かの言う事にしょっちゅう影響されてしまう所、これらはすべて、私が「バランサー」だから出てきている特徴なのではないかと。(↑正しい英語じゃないような気がするので使わないで下さい)

私の中で、フォウクは常に、自分の好きなことが分かっていて、それを追求するのにひるまない人だと思っていた。あの暴力的なファッションで歩いていると、一般の人からはマユをひそめられるけど、それを意に介さない風だったし、どんな変な人がいても、自分が面白いと思えば進んで付き合う。皆から嫌われている教授のことも、「案外そうでもないよ?」とあっけらかんと言ったりする。強い子だなぁ、と思っていたけど、2人でいろいろ話していくうちに、フォウクこそバランサーじゃないかという気がしてきた。

ちょうど彼女が「バランス」という言葉を使ったので、そのことを聞いてみたら、少し考えて、確かにそうだと言う。(さすがに「バランサー」と言った時は、いまいち分からない風であったが^^;)なんだか少し親近感が湧いてきて、自分の思うことをあれこれ話してみると、意外に面白そうに聞いている。星野道夫の「魂を置き忘れてしまった」アラスカでの話なども、すごく良く分かると言っていた(今度詳しく書きます)。

食事は2人で3000円程度だったので私がおごり、恐縮するフォウクに、次にベルギーに行った時にホットチョコレートをごちそうしてね、と言ったら、「じゃあ、特大のじゃなくちゃ!」「えーっ、それは無理!」という会話の後で、そうだ、ベルギービールを沢山持ってきたから、それをあげる!という話になる。で、フォウクの車まで、2人でテクテクと半時間ほど散歩した。道中、ギターをやりたかったけど手が小さいから断念した、とか、でもロックギターカッコイイよね、とか、高校生みたいな話で盛り上がる。同時に、今朝のメールの話や、自分が迷っている事など、迷ったままの気持ちでフォウクにぽつぽつと話した。「フォウクのアドバイスが欲しいんじゃないの。ただ、聞いて欲しくて・・・」と言ったものの、それをフォウクなりに必死に考えて、感じた事を話してくれるのがとても嬉しい。

「そのメールの人は、日本にいる人なの?・・・そうか。距離があると、今の番長に見えないことが見えて、良いアドバイスができるのかもしれない。でも、距離があるから、その人には今の番長が、本当には見えてないのかもしれないよ。自分の状態、思ってること、したいこと、そういうのを全部、言葉を尽くして説明した方が良いよ。そしたらきっと分かってくれる。」

懐かしい道が続く。4年前、旅行中に財布を失くした悪夢のザ・レベルや、ジェームスの家の屋根で、世界を征服した気分を味わったエルム・グローブの坂を上り、フォウクの車のところまで来た。

「イギリスには両親の車を借りてきたんだけど、来た途端にぶっ壊しちゃってさぁー!」

ため息をつく彼女。さすがは暴力女だ。おまけに感染症で指が腫れ上がり、先週はずっと朝からこちらの病院に通ってたらしい。うえー、あの、「院内待ち時間4時間」を4日連続で経験したとは・・・ご愁傷様です。手を覆い尽くすほどの大げさな包帯が痛々しかった。

応急修理したらしい車の後ろを開けると、ぎっしり詰まったビールケースが2箱・・・す、す、すげぇ・・・。まあ、こちらに来た理由の一つは、ブライトンで開かれる、武器取引反対のイベントに参加するためでもあるので、そこで会う友人達へのお土産なのだろう。

貴重なビールを2本ももらい、ベルギーでの再会を約束して別れた。

今日、このタイミングで、ブライトンに行って、フォウクに会えたのは本当に良かったと思う。自分が1年住んだ町で、苦労した事、なぜイギリスに来たのか、自分は何がしたいのか、そういうことを、いろいろな懐かしいものに触れるたびに、少しずつ、少しずつ思い出し、考える。そして、横には自分の話を聞いてくれ、分かってくれようとする人がいる。これは本当に貴重なことなのだと思う。最近は感謝する事ばかりだけど、これもまた、本当に感謝する出来事だ。

そして、今日の経験をより深いものにしてくれた、あの朝のメール、それにも本当に感謝している。「いい子」が身についてしまった私は、自分自身をコントロールすることがとても器用にできるようでいて、真の意味では全く出来ていない。だから、何かがあるとすぐに影響されて落ち込んでしまうけれど、それだけに、自分を深く見つめる機会にもなる。他人にアドバイスするのはとても難しいから、一般の人はそれを避けようとする。でも、どうか皆さん、私には避けないで、どんどん辛口アドバイスして下さい。私はもっともっと考えたいのです。よろしくお願いします。

何を言われても殴りませんから。(たぶん)
by bancho55a | 2008-06-01 00:00 | 07.9- イギリス生活 UK